碧色の瞳に瑠璃を重ねて【六章】

「お、タケミっち久々じゃん。春休みどうだった?」

 拒否されるなんて一ミリも思ってなかったけど、前座っていい? と形だけ確認してみた。予想していた通り問題ないと返ってくる。

オレの憂鬱な新学期一発目は、二限目からだった。めんどいなって思いながら、出席を落とすわけにはいかないからって理由で気合を入れて、でも半分居眠りしつつ乗り越えたところ。

今日はこの後三限が空きで、四限ありっていう予定。とりあえず昼飯と思って食堂へ行ったら、日替わり定食を食ってる友人を見つけた。四限が被ってるのは知ってたけど、先に会えてラッキーと思って声を掛けたんだ。

 すると彼はオレの顔を見るなり明るい表情をした。元気そうで何より。

「千冬! 今日から講義始まるのがめちゃくちゃ嫌って思うくらいには楽しい春休みだったよ!」

 満面の笑みを浮かべている相棒へ良かったな、と返しながらオレは席に着く。昼時だから当然ながら混み始めてたから空いてて良かった。今日も昼をラーメンにしてしまったから、汁モノをこのまま持って歩くのめんどいなって思ってたんだ。 

ラーメンの字を見た瞬間、この前場地さんと食べたラーメン美味かったな。なんて思い出してしまったもので、食堂に入る前に食べたいと思ってたカレーから急遽変更、今日の昼飯はラーメンになりました。そういうものだよね。

「ラーメン美味そう」

「だよな。カレーのつもりだったんだけどさ、ラーメンの気分になっちまって。……相棒はよく日替わりにしてるよな」

「うん。なんか、考えるのめんどくて」

「なにそれ」

 そういえばあんまり食べるの興味ないとかで、家だとカップ麺ばっかりだから怒られる、って前に言ってたっけ。

ちなみにタケミっちがなんで相棒か、ってことだけど、花垣と松野の出席順で最初の講義が隣になったのがきっかけ。は行とま行でそんな並びになったんだろうな。入学早々親友になったオレ達は、お互いが同じ志で大学にいるってことを知ったから。ギリギリにほどほどにやって行こうって志。

まあ、こうして口にするとなんとも自慢できないことなんだけどさ。これでもお互い留年や中退とかは考えてなくてちゃんと卒業する意思はあるんだ。出席に協力をしてみたり、レポートを一緒にやってみたり、っていう所謂ウィンウィンの関係になろうぜ、って誓いを立てた。

だから相棒。完璧じゃん?

 タケミっちっていうのは、どうやら彼の知り合いによって付けられた綽名らしいんだけど、せっかくだったら特別感が欲しくて一晩かけて考えたんだ。

「ヒナちゃんとのデート、SNSにも上げてたもんな」

「まあね。千冬は?」

「遊び行って、バイトしてって感じ。今日から講義とか信じたくねえ。……そうそう、休み中にめちゃくちゃ気の合う人と知り合ってさ! 超楽しかった。チャットしてた時も言ったかもしれねえけど」

 タケミっちはぱっと見冴えねえけど、めちゃくちゃいいヤツだ。何とか上手くさぼろうとしてるところはあるけど、いざとなったらちゃんとやるヤツ。それで、中学から付き合ってる彼女がいる人生の勝ち組。その彼女、ヒナちゃんはめちゃくちゃかわいい子だから、相棒に騙されてねえ? って心配にもなるけどそこはさっき言った通り、タケミっちは良いヤツだから。彼女はきっとそんな相棒のことをよく見てる子なんだろうな。カップ麺ばっかりの相棒に文句言ってるのが、その彼女、ってこと。

それで当のタケミっちは、大学生になって彼女の講義が忙しいって理由であんまりデートの時間が取れなくなったのが寂しいとか言ってたから、春休みは二人で沢山出かけたんだろう。ヒナちゃんは学校の先生になりたいって理由で名門大学に行っているらしいから。偉すぎるよな。

 それにしても中学からってすごいよな。もう五年? 六年とか? 三人で遊んだこともあるからヒナちゃんがどれだけいい子で、タケミっちがどれだけヒナちゃんを大好きかよく知ってるけど。この二人だから長続きしてるんだなっていうのが良く分かるカップルだ。お互いの事大事にしてて、いいなって思った記憶。

高校から学校は別って言ってたけど続いてるっていうんだからやるじゃん。っていうのは脱線だけど。

 さて、オレの春休み中に起こった衝撃的な出来事は、なんとなく相棒にも伝えていたんだけど、どうやら覚えていてくれたらしい。

 しかしどうやって話そうかなんて考えてた次の瞬間、オレはさらに衝撃的な出来事に遭遇することになる。

どれくらい驚いたかって言うと、丁度食べようと思ってたラーメンの卵をもう一度どんぶりの中に落とすくらいの衝撃。汁が跳ねなかったのが幸いって感じ。だって今日は白い服着てるんだもん。

「推しができた、だっけ? ねえ、違かったらごめん、もしかしてなんだけどさ、千冬が推しって言ってんの、場地圭介って人だったりする?」

「え! そうだけど。……なんで?」

 なんで? って聞くオレ、めちゃくちゃ困惑した声だったと思う。

「やっぱり! このアカウント見てさ、千冬かなって思って」

「どれ? あ、そう。これ、オレ。……なんでタケミっちが場地さんを知ってんだ?」

 状況は、なんとなくわかった。SNSをやっていて、後ろ姿を載せてもいいか聞かれたのはまだ記憶に新しい。どうやらタケミっちは場地さんのそのアカウントを知っていたようだった。それで、オレのことも知ってるから気づいた、と言ったところかな。

 そこまでは、馬鹿のオレでもわかるけど。

 驚く、というより不審がるオレに相棒はすぐ種明かしをしてくれた。

とっても簡単な話。二人が知り合いだった、ってこと。

「場地君はさ、オレの先輩の繋がりでちょっと知ってて」

「あー、なるほどな! へえ、タケミっち場地さんの知り合いだったんだ。世間って狭いのな」

「本当だよ! どこで知り合ったの? まさか千冬と場地君が友達なんて思わなかったよ!」

「ちょっと前にさ、課題あったじゃん。オレが落単したって言ったヤツ。アレの資料探しに美術館行ったのよ。で、その帰りに動物園にフラって入って、で、知り合った」

「待って待って急展開! なんか肝心のところが抜けてる気がするけど⁉」

「別にそのまま話してるけどな。場地さんの落とし物オレが拾ってさ。で、話したら意気投合しちゃって」

 オレは今相棒に端折ったって言われたところを説明した。飛んできたストールをたまたま手にしたのがオレで、流れで話してたらめちゃくちゃ気が合ったんだって。ついでに、先日の出掛先についても話してみた。その時撮られてたのがこの写真だって言って見せたら、目を真ん丸にして驚いてるから笑っちまった。

「それで場地君と友達になれる⁈ コミュ力やば」

「ハハ、タケミっちに言われたくねえな」

「びっくりしたよ! 場地君のアカウントに千冬がいたから!」

「ハハ、まあタケミッチからしたらそうだよな。……そういえば場地さんのアカウントってどれ? オレもフォローしていいかな」

「え、嘘だろ、まだ知らなかったの⁉」

「なんで嘘吐かないといけないんだよ。……連絡はメッセージアプリで取ってるし、オレ普段あんまSNS使わねえもん」

「場地君……まあいいや、コレだよ」

 正直、軽く聞いたつもりだった。そういえば本人に聞きそびれてたなって。だから話の流れでついでに聞いて、後で事後報告しようって、それくらい軽く考えてた。そしてオレは、初めて場地さんのSNSアカウントを知った。

 で、なんも考えずに聞いたことを若干公開してるところ。オレ何回びっくりしたらいいんだろう。

「……KeiGo? まって、コレ本当に場地さんの……アカウントだよなあ」

 だって一番最後の写真、確かにこの前見せてもらった写真だし……。帰った後に、場地さん本人からもデータを貰ってるそれ。今相棒に見せるためオレのスマホ上に表示されてるのと同じ写真。

「やっぱり場地さん、すげえ人だったんだ」

 よしフォローしよ、と思って開いてみたら、フォロワー数が三万という数字が見えたので驚いてしまった。驚いたというか、ひっくり返りかけた。食堂の椅子小さいんだよな。転がり落ちなくてよかった。

これってあれじゃん、インフルエンサーとかいうやつ? オレ自身はSNSなんて数少ないダチしかフォローしてないし、普段は使うとしても見るばっかりで、更新はあまりしないから不思議な気持ち。

 ていうか、結構ちゃんとした写真しか上げてないじゃん! 動物に風景。プロの写真。最後の写真、後ろ姿とはいえオレなんかで良かったのかな? 不安だ。

「やっぱり知らなかったんだ」

「ちょっと、びっくりしてる」

「オレもちゃんとは知らないんだけど、オレの先輩と場地君が幼馴染でさ。カメラ初めて、SNSにあげ始めたらバズったとかでこうなったんだって」

「へえ」

 でも、最初の驚きから抜けたらさすが場地さん、って思う。あとこのアカウントをフォローしてる人たちもセンスがいいじゃん? て。場地さんの写真、最高だよな。

 このアカウントをフォローしていたら、まだまだ知らない場地さんにいっぱい出会えるかもしれない。そんな期待を抱いて、オレはそっとフォローボタンを押すのだった。

「場地さんって、タケミっちと知り合いだったんスね」

「え? もしかして花垣武道のこと? なんで知ってんの」

 それから数日後。オレは場地さんと飯を食ってた。メッセージの中で今日バイトが休みって言ったら、じゃあ飯でも行かねえ? なんて話になって。二つ返事して今ここ、と言ったところだ。

「あ、やっぱ通じた。大学、一緒なんス」

「マジ? 世間せっま」

「ハハ、オレも同じこと思いましたよ」

 だってまさかタケミっちと場地さん。接点があるだなんて、想像できるわけがないだろ。

「いや、けっこーびっくりしてるワ。オレの事、なんか言ってた?」

「んー、なんか、場地さんちょっと怖いとか言ってましたね。昔パシられたことあるとか言ってましたけど、まあ相棒って確かにパシりやすそうな見た目だからわかるというか、なんというか」

「アイツそんなこと言ってたの。今度絞める」

 笑いながらそういうから、ほどほどに仲はいいんだなって思った。タケミっちも怖いとか言ってたけどめちゃくちゃ楽しそうだったし。まあ見た目で言ったら整いすぎてて、うっかりすると近寄りがたいかもしれないし、相棒の気持ちもなんとなくわかるなって。

「てか、相棒って何」

「あ、オレ達、ほどほどに頑張って卒業しよう同盟組んでるんス」

「なにそれ。まあ大学生大変そうだよなア」

「いや、オレらが不真面目なだけですって」

 真面目なやつは沢山いるし、単純にオレ達が息抜きばっかり考えてるってだけだ。

 話を聞くと、どうやら場地さんはあんまり勉強が得意な方ではなかったらしい。動物の事あんなに知ってんのに、意外だよね。勉強苦手っていうのは謙遜ってやつな気がしてるけど、よく考えてみたらメッセの漢字はよく変換をミスってる。カタカナの時も多い。わざとと思ったけど、もしかしたらわかんないからそうしてたのかも。

まあ、そんなわけだから形だけでも大学受験ってやつをやったオレをなんかすげえヤツって勘違いしてるもかもしれない。

ゼッタイ違うから全力で否定したいところだけど。

 場地さんは、タケミっちとの関係を教えてくれた。相棒本人からも何となくは聞いてるけど、場地さんから聞くことでやっぱりそうだったんだって納得した感じ。

「武道はさ、オレの中学の後輩だったの」

へえ 」

「一虎っていう親友がいるんだけどさ、そいつがオモシレエ奴がいるってんで絡むようになってサ。で、それからなんかオレの幼馴染と仲良くなってな。今でもたまにみんなで遊びに行ったりしてるワケ」

「いいですね、そういうの。古馴染み? って言うんスかね?」

「難しい言葉知ってんなア」

「いや、オレもよく分かってねえっス」

 場地さんそろそろビールのジョッキが空きそうだ。バイトの癖でそんなことに気づいたオレは、ちょっと会話を遮って次に何か飲みますかと聞いてみた。近くを通りかかった店員に、ビール追加とウーロン茶を伝える。

 さて、何の話をしていたっけと数分前の記憶を辿って、場地さんとタケミっちの話をしてたと思い出す。せっかくだから中学時代について聞いてみようかなと考えたオレは、その通りに場地さんへ質問してみる。

「中学、部活とかやってたんスか?」

 学生時代に上下関係と考えたら、だいたい部活動だろうと思ったんだ。まあ、オレは帰宅部だったけど。

 でも返って来た回答は、オレの予想通りの様で、ちょっと違ってた。

「……言うの悩んでたんだけどさ、オマエならいいかな」

「はい?」

「オレら、暴走族やってたんだワ。そこの上下」

 ウチの隊員だった、という場地さん。

「……そーなんすね」

「……引いた?」

「いや、オレも実は、中学時代はわりとグレてたんス。族とかは、入ってなかったんすけど」

 ここは正直に答えてしまっていいだろう。それと共に、また場地さんとの共通店が増えたことに内心喜んでいる自分がいる。

いや、オレみたいな半端に学校とか規則が嫌になってたやつと場地さんは絶対に違うんだけどさ。

 オレはただ、自分が一番じゃないと気が済まなくて、ついでに喧嘩っ早いところがあったからその行き着く先がちょっとした大人への反抗心と、自分を大きく見せるってことだっただけだ。

「そーなんだ」

「リーゼントでイキって、ダセえガキでしたね」

「いーじゃん。写真残ってないの? 今度見せてほしいワ」

「絶対に嫌っス!」

 ハハ、なんでだよ、って笑う場地さん。

 それよりも、この話だとあのタケミっちも暴走族入ってたってわけだよな? なんとなく話が見えてきたオレにはちょっと、意外性が強かった。パシられたことあるって言ってたけどイジメられてたわけじゃないっていうのは本人の話からだいたい想像できたから。普通にメンバーとして、場地さんの後輩をやってたんだろう。

いいなあ、場地さんの後輩とか。羨ましいから今度なんか奢ってもらお。と、相棒には非常に理不尽なことを思いつく。

 そっか、ヤンキーだったんだ。そう考えたらオレと相棒が今友達になってるのも、なんか根っこに惹かれるものが合ったのかもしれないなとか思った。

でもやっぱりタケミっちに暴走族っていうのは意外っていうのに変わりはなくて、それを場地さんに言ったら、笑ってた。

オレみたいななりきりヤンキーなら、まだ想像できたんだけど。

「嫁の尻に敷かれてばっかだったかンなア。喧嘩も弱エし」

「やっぱり」

「でも結構肝座っててさ。総長が気に入って、いつの間にか入ってたんだワ」

 優しい目をしながら語る場地さんの目から、当時のことが懐かしい、というのが伝わってくる。そうか、その時からの関係が今でも続いてるんだ。そういうの、なんかいいな。

 ごめんなさい場地さん、オレ族とかちょっとダセエって思ってた時がありました。ちょっと反省してます。

 とりあえずの反省をした次の瞬間オレは大事なことを思い出した。そうだ、今日はこれが聞きたかったんだ、と。危うく忘れるところだった。

 丁度店員がきて、さっき頼んだ追加のビールとウーロン茶が運ばれてきたところ。

 オレは先に飲んでたウーロン茶を空けて店員に渡すために一気飲みすると、話題を変えた。

「そうだ、場地さん! オレ場地さんに言いたいことがあったんスよ!」

「おー、何?」

「これ!」

 そう言って示したのは、場地さんのSNSアカウント。この前タケミっちに教えてもらったやつ。場地さんは急に自分のアカウントを見せられて、最初なんだろうって顔をしてたけどすぐにオレが何を言いたいかわかったらしい。

「あ、アカウント言ってなかったっけ」

「聞いてねえっスね」

「ワリイ、そうだったな。消した方がいい?」

「いや、それは別にどうでもいいんスけど」

 オレが気にしてるのは、そこじゃない。場地さんに申し訳ないって顔をされるのは不本意なので、本当にそこは気にしていないと全力で否定する。

「オレの適当にその辺いただけの写真で良かったのかなって、気になっただけでした」

「なんだ、そんなこと気にしてたの」

「ちょっとびっくりしちゃったんで」

「そりゃそっか。いや、なんかマジで気に入ったからさ、残しておきたくって」

「楽しかったのが伝わっちまいましたね」 

 オレとしては場地さんが気に入ってるなら問題ないから、とりあえずいいかなってことで解決した。

「相棒から聞いて驚きましたよ。場地さんインフルエンサー? だったんスね」

「多分違えケド、気づいたら増えてた」

「でも、みんな場地さんの写真がいいって思ってるってことっスね!」

「だといいケドな」

「謙遜するところもカッケエっス!」

「元気なヤツ」

 最高の誉め言葉を貰って、思わず口元が緩んだ。それでいいんだ。オレに語彙力はないから、勢いが伝わってるっていうのなら大成功ってヤツだし。

話のついでにオレは、場地さんのアカウントの中で特に気に入っている投稿をピックアップして本人に伝える。

一つ目。パンダが笹を食べてるところ。めちゃくちゃ美味いってのが伝わってくる感じ。二つ目。馬が前足を上げてるところ。躍動感がすげえ。三つ目、これは動物じゃなくて風景。どっかの田舎。田んぼと夕焼けが綺麗だ。

暫くオレが一人で喋っているのを場地さんが聞いている、という図だったけれど、ふと彼はこんなことを言ってきた。

「なー、千冬にさ、頼みがあるんだケド」

「なんスか」

「オレ、今まで風景とか動物は撮ったことあるんだけどさ、人ってあんま機会がなくてな」

 そうして言われた頼み。それは専属で被写体になってほしい、という話。

そう言われてオレは何回この人に驚かされるんだろうかと、思ったり。

詳しくないけど、被写体ってことはアレだよな? 写真に写る人。モデル的な。何も問題はないけれど、単純に疑問。素人でいいんだろうか、という事だった。だって場地さんのプロみたいなカメラの腕を考えて、全然慣れてないオレなんて撮っても楽しくないんじゃないかなって。

勿論場地さんのお手伝いができるのであれば、嬉しい。

そんな、嬉しいと大丈夫かな、が自分の中でせめぎ合う。そんな揺れ動きすぎてる心情なわけで、とりあえず聞いてみる。

「別にオレじゃなくても、ご友人とかは?」

「いや、アイツらはなんか違えんだよなア。練習させてくれるようじゃないっていうか、なんてか」

 とりあえず良く分からなかったけど、場地さんが考えてるのとはちょっと違うらしい。まあ、場地さんがそれでいいっていうならいいのかな。

「じゃあ、場地さんの迷惑じゃないなら」

「後は、なんか……そーだな、オレが千冬のこと、撮りてえの」

「えっ」

「だめ?」

「そんな、ダメじゃないっス! 喜んでお手伝いさせていただきます!」

 断れるわけなんてない! 当然断りたいと思ってたわけじゃないけど、オレの心は今の一瞬にして固まったのだった。

 こうして場地さん専属ポートレートモデルの松野千冬が爆誕したのだった。

なあんてな!


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