(うわあ、カッケエ) さっきから何回同じこと思ったんだろう。 山のどこかから湧き水が溢れ出てくるみたいに、同じ言葉がずっと出てきて、止まらない。 カメラを構えてる場地さんは、想像以上だった。なんでこの人、何しても様になる… 続きを読む 碧色の瞳に瑠璃を重ねて【五章】
月: 2022年7月
碧色の瞳に瑠璃を重ねて【四章】
大学に行くとき、バイトに行くとき、あとは友達と出かけるとき。これまで身支度ってものを考えたことがあまりなかった。というか、人生で初めてこんなに朝からどうしようって考えてるかもしれない。……正確には、昨日からなんだけど。… 続きを読む 碧色の瞳に瑠璃を重ねて【四章】
碧色の瞳に瑠璃を重ねて【三章】
春先の居酒屋。日中は日差しの温かさを感じられるようになってきた今日この頃だけれど、夜はまだ寒さの残る時期。そんな中で、店内をばたばたと駆けまわっているオレは制服になっている半そでのポロシャツでも少し暑いくらいだった。「… 続きを読む 碧色の瞳に瑠璃を重ねて【三章】
黒猫は今宵壱等星の夢を見る【シリーズ】
黒猫は夢を見る
黒猫は夢を見る 黒猫は今宵壱等星の夢を見る After Episode * これが本当の×× おはよう、口にすることがこんなにも嬉しいことだなんて、知らなかった。……というのは少しだけ語弊があって、おはようが嬉しいな… 続きを読む 黒猫は夢を見る
黒猫は今宵壱等星の夢を見る㉚
【三十章】 「場地さん、お帰りなさい! お疲れ様っス!」「おー。タダイマ」「そろそろって思ったんで、茶淹れましたよ!」 場地が部屋に入るなり元気いっぱいに駆け寄ってきた千冬。急いだ様子が、乱れた前髪から伝わってきた。そん… 続きを読む 黒猫は今宵壱等星の夢を見る㉚
黒猫は今宵壱等星の夢を見る㉙
【二十九章】 白いシーツに広がる黒髪を見て、ほんの少しだけ不安になったのは場地だけの秘密だ。 もう逃げないと千冬に約束をさせて、彼を病室に連れ戻すことに成功したのだった。尤も「場地さんの手を煩わせるわけにはいきません… 続きを読む 黒猫は今宵壱等星の夢を見る㉙
黒猫は今宵壱等星の夢を見る㉘
【二十八章】 気づいた時には一瞬意識が飛んでしまっていたらしい。 人の気配をすぐ近くに感じて、慌てて目を覚ました。正しくは、本能がギリギリのところで危険を感じ取ったのだろう。無理矢理覚醒した身体が悲鳴を上げているのを感… 続きを読む 黒猫は今宵壱等星の夢を見る㉘
黒猫は今宵壱等星の夢を見る㉗
【二十七章】 今日もまた、いつものように病室を訪ねて、彼に早く目覚めて欲しいと願うだけの時間になるのだと思っていた。穏やかに目を伏せる白い顔(かんばせ)を見つめながら、その向こうに見えていたはずの碧い瞳に思いを馳せるこ… 続きを読む 黒猫は今宵壱等星の夢を見る㉗
黒猫は今宵壱等星の夢を見る㉖
【二十六章】 「……ここは、一体」 ぱちりと目が開いた。 不意に、目が覚めた。自然と意識が戻ってきた感覚。夢を見ていた記憶はないけれど、千冬はすぐに自身がどうやら長く眠っていた事を理解できた。それが一体どれくらいの長さで… 続きを読む 黒猫は今宵壱等星の夢を見る㉖